Daily Archives: 2023年2月14日

ナノインプリント

モスアイ構造のシミュレーション

モスアイ開発品の反射率シミュレーションの例を紹介します。モスアイ開発品は、表面に200から300ナノメーターサイズの微細な凹凸を持つことで、光の反射を制御し、更に干渉色を抑えることができます。

反射率シミュレーションとは、モスアイ開発品の表面形状の条件をコンピュータ上で設定し、反射及び透過光の強度を予測することです。反射率シミュレーションは、モスアイ開発品のデザインに役立ちます。

ここでは、モスアイ開発品の反射率シミュレーションの例と近いパラメーターをインプリントした反射率の測定結果との比較とともにご覧ください。

シミュレーション結果
モスアイ構造をインプリントしたフィルムの測定結果

このように、モスアイ開発品の反射率シミュレーションは、凹凸の深さやサイズのパラメーターが異なる設計では、反射率の波長分布がどのように変化するかを見ることができます。約400ナノメートルから800ナノメートルの可視光領域での反射率が小さければ、光の反射による損失が少なく、光線透過率が高くなります。特に人間の目にとって最も明るく感じる波長である550ナノメートルでの反射率の大きさは、反射防止特性を判断するのに重要な指標となります。

モスアイ構造による反射防止の特徴として、全体的に反射率を抑制できることがあります。その傾向はシミュレーション結果とフィルムの測定結果にも反映されています。

設計Aと設計Bは、非常に似たパターンを有していますが、構造の高さや間隔などが異なる設計となっています。パラメーターの違いは僅かですが、グラフが横方向にシフトする様子が確認できます。可視光の反射防止を目的とする場合、550ナノメートルの波長での反射防止効果が高い設計Aが優位と言えます。700ナノメートル以上の高い波長域の反射防止特性を重視する場合には、設計Bが優位と言えます。

シミュレーション結果が実際のフィルムとの結果に高い相関性を持たせることができております。シミュレーションは、薄膜技術の有力なツールです。ぜひ、ご活用ください。